最初にお伝えしたいのは、映画『レインマン』は公開当時の描き方で、兄レイモンドの自閉症とサヴァン症候群を混同しないようご理解ください。
現在、自閉症は一般に自閉症スペクトラム症というフレームで理解され、コミュニケーションや感覚、行動などの特徴には大きな個人差があります。
サヴァン症候群は、記憶や計算など特定の領域で突出した能力が見られる状態をさし、自閉症のある人すべてに備わるものではありません。
レイモンド(ダスティンホフマン)には両方に関連する特徴が描かれていますが、彼はあくまでも一人の登場人物です。
これらのことを知って頂いて、一般人から見たら優れた能力でも、本人が何を苦痛に感じ、どのような環境で安心できるのかにも目を向けると『レインマン』を楽しめます。
映画『レインマン』あらすじ感想でネタバレになりますので、映画を観てからよんでくださいね。
| 原題 | Rain Man |
| 公開 | 1988年 アメリカ |
| 監督 | バリー・レヴィンソン |
| 主演 | ダスティンホフマン、トム・クルーズ |
| 上演時間 | 約134分 |
映画『レインマン』あらすじ
チャーリー・バビット(トムクルーズ)はロサンゼルスで高級中古車を販売しています。
彼のビジネスは、自転車操業で借金もあり綱渡りの状態。
そんなとき、父親の訃報が届き、チャーリーは、週末の旅行を切り替えて葬儀に向かいます。
彼は、父親と揉めて家を出てから、長い間会っていませんでした。
葬儀に向かう彼の内心は「遺産をもらってさようなら」
そう思いで、代理人から遺言状で、遺産額は300万ドルと聞きますが、そのお金を受け取るのはチャーリーではなく、知らぬ男と告げられて
「どういうことだ」
チャーリーが受け取れるのは、父が愛用した車とバラの木だけでした。
代理人に受取人を尋ねても答えてもらえず、納得できないチャーリーは、受取人を調べます。
その男は施設で暮らしていることがわかり、そこに向かいましたが、施設の責任者も受取人を教えてくれません。
しかし、停車中のチャーリーが受け取った車に関心を寄せる男が現れ、受取人と分ります。
その男の名前はレイモンド、しかも自分の兄。
このときまで、チャーリーは兄がいることを知りませんでした。
彼は、自分に実の兄がいることに喜ぶより
「この人を連れて行けば、父の財産に関して有利になれる」
単純に考えて、チャーリーはレイモンドを施設から連れ出します。
しかし、レイモンドは、コミュニケーションに問題があり一般社会から離れて暮らしていたので、二人の旅は互いに困難なものになります。
レイモンドは、施設で決まった生活を送っていたので、リズムが狂うと精神が不安定になってしまいます。
そんな彼をチャーリーが、無謀にも施設に無断でロスアンゼルスに連れて行こうして、すぐに問題が起きます。
施設のあるシンシナティからロサンゼルスまでは約3500kmあるので飛行機で移動しようとしますが、レイモンドは飛行機に乗ることを拒否します。
理由は、過去の航空機事故の記憶から恐れからです。
「ロスアンゼルスに戻るのに時間がないんだ」
チャーリーは苛立ちますが、レイモンドは断固拒否するので、しかたなく車で移動することにします。
3500kmの道のり、アメリカ横断です。
チャーリーは、道中レイモンドのライフタイムで生きざるを得なかった。
彼のルーティンを狂わせると不安になって取り乱してしまうから。
チャーリーも「どうして、こんな簡単なことができないんだ」とキレるが、レイモンドは無表情で黙っている。
無理やり一緒の旅を続けるうちに、彼はレイモンドの記憶力が良いのは分かっていたが、数字特にカウントに強いことに気がつきます。
レイモンドは、一度見た数字を正確に覚えられる。
チャーリーは、驚き、ひらめく。
「この記憶力を使えば・・・」
金に困っている彼は、レイモンドを連れてラスベガスのカジノにのりこむ。
カジノでレイモンドの能力を使い、二人は大金を手にし、チャーリーは喜んだ。
「金の心配も減り、ビジネスも立ちなおせる」
そう思いながらも、兄レイモンドはいつも通りだ。
その姿を見て、チャーリーの兄との心持が少し変わったように見える。
ビジネスでは、トレードオフなので「何かを得たら、何かを差し出す」の関係ですが、カジノでの関係はチャーリーに、ギブされるだけ、レイモンドは何も要求しない。
チャーリーが感じたことがないものだから、レイモンドがダンスをしたいというリクエストに素直にラスベガスの超高級スイートルームで兄にダンスを教えたのかも。
一方、兄レイモンドの唯一の変化はエレベーターないで女性とダンスし、キスの体験、物理的反応だが彼にとっては一大事だろう。(笑)
チャーリーが兄と認めてから共に過ごす時間が、少しずつ幼いころの記憶を戻してくれた。
チャーリーは、怖い夜幼い自分のそばで、歌ってくれた人を「レインマン」と呼んで妄想だと思っていた。
しかし、レインマンとは、幼いチャーリーがレイモンドと言えなかったときの呼び方だった。
「レインマンは、兄さんだった」
気づいた彼は父親への怒りが大きくなる。
「どうして兄がいることを教えなかったか」
しかし、チャーリーも気づく「僕が連絡を絶って分ろうとしなかった」と
以前ならキレていたことも、少しずつ受け入れて、やっと二人は兄弟らしい時間を過ごすようになり、「離れたくない」一緒にいたい。
最初は、遺産をめぐるための旅だったが、今は兄を失いたくない気持ちに変わった。
ラスト列車を見送るシーンで、兄レイモンドはいつも通りだが、チャーリーは以前のステージから上がった余裕の表情がいい。
映画『レインマン』感想
映画全体を通してチャーリーのキャラクターが出ていますが、遺産の話の前に「自分に兄がいることを知らせてくれない」ことに対する怒りがあると、感じました。
結局はチャーリー自身が連絡を絶っていたことが主な原因なのですが、父と子の確執や誤解はいつまでもテーマです。
彼は自ら家を飛び出しても、家族の一員であるという意識は持っているもんだと思った。
その気持ちがなければ、「どうして教えてくれなかった」という言葉はでてこない。
そんなチャーリーが、遺産のためにレイモンドを連れだし利用しようと思っていた。
そのことを彼女から、「あなたは人を利用するだけ」と叱責されて、キレる場面からも図星。
自分のペースで生きてきたので、人のことなどお構いなしの彼に、遺産のためとはいえ、彼以上にルーティンで生きてきたレイモンドといることでの変化は面白い。
レイモンドは、自分のルーティンのリズムを守らないと精神が不安定になるので、いつも通りに行動しますが、チャーリーにとって、彼は自分の邪魔をしているとしか思えない。
ふたりに大きな転機なったのは、レイモンドの数の記憶力を使ってカジノで勝つ場面、チャーリーは欲を出してこれで稼げると喜ぶ。
しかし、いつも通りのレイモンドを見て
「自分はこの人を、本当に兄として見ているのか」
私が感じる、チャーリーがカジノで稼がせてもらったこともありますが、彼がギブされるだけの経験がないので逆に心のバランスがくるったように感じました。
レイモンドのダンスのリクエストに応えるのもそうした反応だと思います。
彼の内心が動き出します。
そしてようやく、兄弟の関係になれ幼いころの記憶にたどり着くことで、チャーリーにとってレインマンは架空の人物と思っていたが、実は目の前にいる兄がその人だった。
「レインマンは兄さんだったのか」
このことを知ってからは、遺産を持っている知らない男ではなく、本当の兄になった。
チャーリーは、最初お金のためにレイモンドと旅をしたが、最終的にはお金以上のものを手に入れた。
人を理解するには一緒にいて、相手のことを少しずつ知っていく。
最初から分かり合える人ばかりではないので、たいがい腹が立つ。
でも、相手を理解しようとすると、自分が変わっていいくことに気付く
自分を相手に合わせて変えていくのではなく、結果的に自分が変わっていくのだと思う。
アメリカ映画では、外面からの摩擦で変わっていくように見えるが、最終的にはその人の内側から行動が変わっていく。
レインマンのラストは静かで兄レイモンドの反応も、最初と変わっていないように見えますが、観るこちら側が変えられてしまったような映画です。
主演ダスティンホフマン主演の作品についても書いてますからよんでくださいね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。

