映画『南極料理人』は、実際に南極観測隊で調理担当を務めた西村淳氏の『面白南極料理人』のエッセイをもとに作られた作品です。
タイトルの南極からダイナミックなイメージを持たれるかもしれませんが、予想に反して私たちと同じように仕事をする、さらにとても制約が多い退屈と言える環境での物語です。
そんな中でも原作者西村氏は、やさしさ、ユーモアを持った視点から隊員たちに関わっているのを感じます。
原作同様、映画も主人公西村からの目線で描かれているので、楽しめます。
観測所での毎日、ドラマチックなことがなくても十分面白い、そんな感じを持てる映画です。
後半に、映画『南極料理人』のあらすじとともに感想も書いてありますので、よろしくお願いいたします。
映画『南極料理人』あらすじ
公開 2009年 日本
原作 西村淳
監督 沖田修一
主演 堺 雅人
『南極料理人』は、南極のドームふじ基地に派遣された8人の男たちの物語です。
物語は、14か月の越冬隊員の基地内の活動や日常が描かれています。
南極という地球上でもっとも過酷な環境に人間がどう対応していくかという話ではなく、一般社会と隔絶された生活空間での人間対人間の話です。
まず、話の大事な要素である主な隊員のキャラクターを紹介します。
主人公西村淳(堺雅人)は、ひょんなことから派遣された調理担当。家族思いで、隊員への気遣いがにじみ出る人物。
本山秀行(生瀬勝久)雪氷学者 学究肌
金田浩 (きたろう)ラーメン大好きの気象学者
川村泰士(高良健吾)唯一の若手大学院生
福田正志(豊原功補)医者の不養生を絵にかいたキャラ、酒・たばこ大好き
隊員たちのキャラクターを食べる面からユーモアたっぷりに描かれ、節分、ミッドウィンター、誕生日など特別な日の食事の場面はより楽しめます。
しかし、閉鎖空間だからの問題や家族や恋人と離れていることでのもどかしさなども描かれています。
任務終了後、帰国して劇的な変化があるようには見えませんが、生きることの大切さの感度が上がり、小さいけれど大切な変化が感じられます。
彼らは南極越冬は自ら望んだ大切なミッションですが、日常生活に関しては、不自由、不便、不快な厳しい環境を体験したからなんですね。
過酷な環境のなかで、主人公西村は、隊員たちが少しでも元気になれるよう工夫を重ねます。
南極という特殊な環境では、当たり前と思われている食事が、特別な意味を持つんだと感じさせてくれる映画です。
映画『南極料理人』感想
印象に残った場面が三つあります。
一つ目、南極の氷にシロップをかけてスプーンで一生懸命食べている所とウヰスキーのオンザロックのシーンです。
大学時代に、冬の北海道を学割周遊券で一か月ほど旅したことを思い出しました。
北海道旅行のメインの目的は、知床半島の付け根の斜里で、ソ連からの流氷を削ってオンザロックを飲むことでした。
「流氷オンザロック」は、貧乏学生の冬の北海道旅行の憧れで、私もご多分にもれずチャレンジしましたが生憎、南極ばりの強風で何日もオホーツク海に近づくことができず、宿のそばの雪でウヰスキーシャーベットで我慢した思い出です。
極寒の地ならではの遊びを考える.バカらしいことでも真剣にやると面白かった。
そんなことを思い出しながら、厳しい環境でも、自然の機嫌のいい日を見つけては南極でかき氷に挑戦する遊び心を尊敬します。
あんまり大変すぎるとバカなことがしたくなるのは、同じなんで嬉しいです。
ふたつ目は、豪華なカニ三昧とラーメンの在庫が底をついた場面が印象的でした。
海産物のなかでもトップスリーに入るカニを食べられても、ラーメンが食べられないのは耐えられない。
この感じには激しく共感します。
カニは正月に食べるくらいでちょうどいいですが、ラーメンは、日常的に食べるものですから欠かせない、ということに改めて気がつきました。
でも考えてみると、どこに行っても日頃食べているものがあれば、そんなにストレスにならないのかもしれない。
日本国内を旅行して、味付けが違っても似たものが手に入るのは素晴らしいと思った。
映画でラーメンショックの場面で、製麺に必要なかん水について、成分を調べて代用できるもの探すのは、食に対する執念を感じました。
食への執念を学者さんがもつと科学者らしい代替案を導き出すのも感動的、まるで映画『アポローチ13』のピンチを優秀な頭脳がクリアし胃袋にラーメンを帰還させるミッションを遂行をするようだ。
かん水の代替案のアイデアを出したのは本さんですが、アイデアをかたちにしたのは中村さん、見事なチームプレーです。
中村さんの献身的行動には、みんなを喜ばしたい愛情を感じました。
念願のラーメンを食べるシーンでは、極端とはいえ本来の南極の観測よりもラーメンを優先する隊長の人間味に心温まるだけでなくお腹も温まります。
三つ目は、巨大伊勢エビフライのシーンです。
巨大なエビフライというのは、初めてですが私にはおいしそうに見えなかった。
エビフライと言えばバナメイエビかブラックタイガーが定番で、サイズ感も味もいいけど伊勢エビは違うと思う。
どうしてかと言うとサイズが大きくて、食べ方がわからない、食べにくいのは、味以前にアウトです。
また北海道ネタですが、ユースホステルの夕食に贅沢にも毛ガニが一人に一杯でたとき、毛だらけの甲羅を10分ほど凝視したのを覚えています。
その様子をみかねて宿の人が食べ方を教えてくれて、時間をかけて食べつくしました。
食べ物のシーンはそれだけで記憶を刺激してくれるんです。
映画の話に戻ります。
実際に隊員のみんなが、伊勢エビフライを見て微妙な反応をしたので、私も同じ感覚でよかった。
やっぱり伊勢エビの食べ方と言えば刺身か、焼きがおいしいです。
一度しか食べたことないですが(笑)
『南極料理人』を観て思ったのですが、エビやカニと一口に言っても日本国内には同じ食材でも種類が多いし調理法もいろいろあるから、ご当地の名物料理は、その土地に行って食べる価値があるんだと納得しました。
映画からどんどん脱線してしまいました。すいません
食材、調理法、大きさ、こんなにバリエーションがあってそれぞれに好みが違う、この視点でも興味深いです。
おいしいのは嬉しい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
