映画『キャストアウェイ』は、サバイバルな場面がみどころです。
同時に現代に生きている私たちに、思いもよらぬ環境で生き抜く経験をさせてくれる映画でもあります。
監督のロバート・ゼメキスは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレストガンプ』などの代表作を制作した人物です。
本作品でも彼の作品の特徴で、最初分かりずらいシーンがはさまれていることがありますが、ラストまでしっかり観るとちゃんと意味を回収できます。
監督の思わせぶりのシーンは観客の想像をふくらませてくれさらに楽しめます。
| 原題 | Cast Away |
| 監督 | ロバート・ゼメキス |
| 主演 | トム・ハンクス |
| 公開 | 2000年 アメリカ |
| 上映時間 | 144分 |
映画『キャストアウェイ』あらすじ
ネタバレになりますので、本編を観てから振り返りで読んでください。
主人公チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は世界中を飛び回る運送会社フェデックスの社員で、時間を何より大切にしていた。
一分一秒でも時間を短縮し荷物を届けることに集中しています。
恋人のケリーと過ごす時間も限られていたが、いずれは落ち着いて暮らせる日を信じていました。
クリスマスの夜、チャックは仕事のため飛行機に乗らなければならなかった。
彼は、ケリーに大晦日には戻ると約束して、彼女からもらった懐中時計を持って旅立つ。
彼の乗った飛行機は海に墜落する。
チャックは海に投げ出され、一人島に流れ着く。目を覚ますと、周囲には海しかなく人の気配もない。
「ここはどこなんだ」
彼は誰かいないか叫んでみても反応はない。
救命ボートの他、食料、水もない。あるのは墜落した飛行機から流れ着いたいくつかの荷物だけだ。
彼は、救助隊に気付いてもらうために砂浜にヘルプの文字を書いたり、木なども使ってアピールしたが、まったく救助の姿は見えない。
最初は、助けが来ると思っていたが何日待っても誰も来なかった。
「ケリーはどうしているだろう」
チャックの心を支えたのは彼女を思い、そばにいてくれると信じることだった。
「火が必要だ、生きるためには火が」
彼は、信号のためにも火が必要と思い、火を起こそうとします。
不慣れな火おこしで、何度やってもうまくいかない。
手をけがしても、あきらめず繰り返すが火はつきません。
何度もうまくいかず、工夫をくり返しようやく火がついたとき、チャックは漂着して初めて声を上げて喜ぶ。
小さな火だが、彼が起こした火だ。
便利な暮らしの中で生きてきた彼にとって、自分で手に入れた経験は大勝利だ。
火を得てからの島の生活は少しずつ良くなり、チャックは魚を捕まえ、ヤシの実を割り、雨水を集め、傷を治し、住む場所を作る。
彼が漂流する前は仕事の時間を秒単位で管理していた男が、自然の中で命をつないでいる。
彼は、命がつなげるようになると
「誰かと話したい」
島には自分ひとりだから、それも叶わない。
火起こしがまだ上手くいかない時に手をけがして、怒りから手元にあったボールを掴んで投げた。
その時に手の血がついたボールが人の顔のようだったので彼は、そばに置いていた。
ボールのメーカー名が「ウィルソン」だったので、そう呼ぶようになった。
ウィルソンは人間ではない。それでもチャックにとっては大切な存在になっていく。
話しかけ、返事を想像する。孤独に耐えるための自然な行動だ。
救助が来ない島での生活は4年に及んだ。
ある日、島に流れ着いた扉を見つけ、彼に島脱出のひらめきが生まれた。
「これは使える」
これを帆に使って筏を作り、島から出ると決心します。
「海に出れば死ぬかもしれない」それでも彼は進みます。
「ここに残っても、少しずつ死んでいく」
彼の選択は1つでした。
それからは、忙しく筏を作っていきます。島に4年いたのでどの季節にどこの方向の風が吹くかを心得ての出発の時期も抜かりありません。
以前、島脱出を阻む波の壁を乗り越えられずに一度失敗しているので、今回は漂着した扉を帆にして外海に出る準備をはじめます。
彼の計画は成功し外海に出られましたが、波風で筏はほぼ大破しウィルソンも失ってしまいます。
チャックは、何日も漂流しているところを救助されます。
故郷に戻った彼は、自分の墓までたっていると知り、自分がいなくなった後、恋人のケリーは別の人生を送っていた。
彼は、深夜雨が降る中彼女を尋ね二人は再会します。
いまでもチャックは、ケリーを愛している。ケリーもまた。
しかし、4年間の時間は流れてしまったことを実感し、彼の気持ちは
「君を愛してる。君は家に帰るんだ」
チャックとケリーは、別れる。
チャックは、これからどうする
I don’t know
ラストの女性と十字路については最後に書きます。
映画『キャストアウェイ』感想
映画タイトルだけを見るとサバイバル・ダッシュ村みたいなのかと思ってましたが、最後まで目が離せなく考えさせられる作品でした。
チャックが島に漂着してからは、ほとんどセリフがなく、ひたすら彼を応援するしかない感じでした。
彼は、もともと時間と格闘する生活の人間が、まったく違う環境でどうやって命をつないでいくかにとても引かれた。
最初は、彼と同じく救助隊に見つけてもらうことを考えたと思う。
その望みが薄くなってからが人間としての本領発揮だろう、飲み水を集め食料をさがす。
火を求める。
人間にとって火をコントロールできること、食生活や住環境への良い影響がこれほどあるとは想像できなかった。
劇中、特にチャックが火おこしをしているシーンには力が入ってしまった。
自然の中で火の恩恵ははかりしれない。
彼が、火おこしに成功した場面、一番喜んでいる様に思い、とても感動した。
私は、キャンプのBBQで炭にしっかり火がつくまでイライラしてしまうなど、お話になりません。
そして、もう一つ思ったのはたった一人で話し相手がいないのがほんとに辛いんだろうなと感じました。
むかし、近所のおばさんで、ずっと独り言を言ってる人がいたのを思い出しました。
今思えば、孤独だったのかも知れない思い出です。
私は、いつも人との距離が近い生活をしてきたので、人と話すのはうっとうしいと感じていましたが、少し反省して付き合い方を考えます。
でも、そうは言っても話し相手がいないと言葉を失って人でなくなっちゃうのかも。
亡くなったお袋も、仏壇に向かってよく話していたっけな。
故郷の戻ってきたチャックの気持ちは
「島で生きるのが精いっぱいの4年の間、世界は止まっていなかった」
「俺は戻ってこれたが、今までのところには戻れない」
これはとても厳しいがリアルだと思う.社会が変わるだけでなく人も変わってしまう。
チャックがいちばん会いたかったケリーにも4年間の流れがあり、愛していても、一緒に生きられない。
悲しみを持って教えてくれた。
しかし、彼は、絶望を日常としてきた思う。島で毎日その思いで過ごした感覚がある。
逆に意地悪に考えるとチャックには、十字路で行き先を選べるのは一番難しくなったのかも知れない。
島では、選択はできなかったから。
『キャストアウェイ』ラストの女性と届けた荷物の意味を考える
ラストで、荷物を女性のベティーナ・ピーターソンに届けに行きますが、不在のためチャックは、メッセージを残し置き配して家を離れます。
メッセージの内容は、この荷物のおかげで戻ってこれたことに感謝します。
漂着した島に流れ着いた荷物で最後まで開封しなかった意味を私なりに考えてみました。
荷物に翼のマークがあったためかもしれませんが、彼がフェデックスの社員ということも関係していると思いました。
彼の仕事は、荷物を待っている人に届けること、しかも早く確実に。
仕事のスピリットと彼が残したメッセージとがつながる。
彼が島で何もかも無くなっていく中で、彼を支えたのはまずは恋人のケリー、そしてもう一つは荷物を届けるスピリット。
荷物を待っている人に届けるというミッションを心の支えにしたのだと思う。
故郷に戻って、ケリーも失った彼に残った支えは待っている人への責任と思い込んでいたのではないか。
以前読んだ本で『夜と霧』の本文中に強制収容所で自殺しようとしていた人が、生き延びた話を思い出した。
内容は、「自分を待っている仕事や愛する人間にたいする責任を自覚した人間は、生きることから降りられない」
まさにチャックの心境ではないかと
最後に、十字路で女性に会ってなんかありそうな感じなのは、家のゲートが変化しているなど細かい演出があります。
道路も4年経って、一部は舗装されているのもなんかあるのか意味深ですね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
他にもトムハンクス主演の作品について書いてますので読んでください。



