映画 『チョコレートドーナツ』は、主人公ルディが、愛おしい子マルコを守りたい一心から始
まる物語です。
ルディとポールのゲイカップルが、血のつながらないダウン症のマルコを育て始めます。
しかし、1970年代のアメリカ社会は、同性愛に対する偏見が残っている時代で、彼らは、マ
ルコの養育権をめぐって闘いますが、法廷では法律以外のところで性的マイノリティに対する攻
撃も激しい。
彼らは、家族を守るために外部だけでなく、パートナーともぶつかりながら、より互いを理解し
ていきます。
そんな時代背景で彼らは、マルコを守っていくのはいばらの道ですが、暗くならないのは、主人
公ルディの優しいが強く家族を思う気持ちが溢れているからです。
映画『チョコレートドーナツ』のあらすじちょっとネタバレとキャストさらに実話の部分はどの
部分か書いています。
覗いてみてください。
映画『チョコレートドーナツ』あらすじ
| 原題 | Any Day Now |
| 公開 | 2012年 アメリカ |
| 2014年 日本 | |
| 上映時間 | 約97分 |
| 舞台 | 1970年代 アメリカ |
| 監督・脚本 | トラヴィス・ファイン |
1970年代のアメリカ。
ショーパブで歌うルディにポールは魅了され、恋人関係になります。
ルディの住まいの同じフロアに問題行動をっ繰り返す住人宅で、育児放棄されたダウン症の少年
マルコと出会う。
ある日マルコの母親が薬物で逮捕されたことで、ルディは部屋に残されたマルコを一時的に保護
した事をキッカケに3人は暖かい家庭を作り始める。
唐突に3人が家族になったように見えるが、互いに引き合うものが感じられます。
彼ら3人は、それぞれに傷を抱えたもの同士が求めていた関係だったのかも知れません。
それ故に、暖かい関係を作れたのかも知れない。
しかし、当時のアメリカ社会は、ルディとポールのような同性愛者に対し偏見が強く、2人がマ
ルコを育てていくのは不適切なことと捉えれていました。
そんな社会の風潮など関係なく、ルディのパッションは強く優しくマルコを正式に家族として育
てる決意をかため、ポールにも覚悟を求め家族として結びついていきます。
愛情と強い思いのある家族の誕生を感じます。
2人は、養育権を求めていきますが、同時に「ゲイ」に対する社会の偏見とも闘わなければならない。
私見ですが、裁判は相手の不利なところをどれだけつつくかが勝負なのでえぐい世界ですが、
「あざとさとえぐさ」の勝負がリアルだとげんなりします。
本題に戻って、映画中で気持ちを明るくしてくれるのは障害を持ったマルコが、2人から愛情た
っぷりもらって、表情も豊かになり心身ともに変化してくところ良いです。
3人は家族として関係を深めていきますが、これでもかこれでもかと困難が現れ、法廷の相手側
に利用されて実母が登場、裁判も長期化し、結果3人は引き離されてしまう。
裁判の結果、養育権は認められず、マルコは施設へ戻される。
3人の夢は叶わなかった。心底悲しい。
送られた施設の環境で、マルコは再び心身の健康を損ねてしまう。
この時のマルコは、以前の彼ではなく愛情を知った人に変わっていたので家に帰ろうとする。
ルディとポールは、あきらめずに彼を取り戻そうとしたが法律制度の壁は打ち破れなかった。
物語の結末は、悲しいものとなりましたが、3人がともに過ごした時間は短くても深く結びつい
た彼らは以前の彼らではない。
映画『チョコレートドーナツ』主なキャスト
| 俳優 | 役名 | 役柄 |
| アラン・カミング | ルディ・ドナテロ | 歌手を目指す華やかな人物 |
| ギャレット・ディラハント | ポール・フラガー | ゲイの法律家 |
| アイザック・レイヴァ | マルコ | 育児放棄状態にあるダウン症の少年 |
ルディ役アラン、アラン・カミングの魅力
ルディのキャラクターは、華やかな部分だけでなく、傷つきやすく愛情深さです。
さらに、ゲイでもある。
これだけの要素を表現でき、印象を残せる俳優です。
蛇足 逆に一風変わったキャラを演じられるので、オタクや変人の役が多いのも納得。
ポール 法律家としての葛藤
ポール(ギャレット・ディラハント)は、ルディと対照的に冷静でいかにも法律を大事にする価
値観を持っています。
彼は、ルディとマルコを守るために法律の専門家として全力でサポートしますが、専門家である
ために限界を熟知しているために葛藤します。
法律を学んで市民に貢献しようと努力してきたのに、法律の限界に苦しめられる立場です。
ポール役のギャレット・ディラハントは、冷静で思慮深い役を穏やかに演じていると思いいます。
八方塞がりでルディ同様に、暴れたいところを抑制のきいている所が胸が苦しいです。
マルコ役 アイザック・レイヴァの魅力
マルコを演じたアイザック・レイヴァは、彼自身ダウン症ですが、それ以上に自然体の表情やし
ぐさなど、観ているこちら側も守ってあげたい気持ちになります。
また、主要キャストだけでなく、全登場人物のキャスティングが見事で、映画にのめり込んでしまいます。
『チョコレートドーナツ』はどこまで実話なの?
映画『チョコレートドーナツ』は、実話をベースに着想されたフィクションです。
物語の大部分や登場人物、そして結末は映画用に大きく脚色されていますが、キッカケになった
実話の部分をまとめてみました 。
1970年代のニューヨーク・ブルックリンに実在した、ルディという名のゲイの美容師のエピソー
ドを元にしています。
ルディが、近所に住む育児放棄された障害を持つ少年を保護して育てたのは事実です。
少年の母親が薬物依存のセックスワーカーで、逮捕をきっかけに少年が置き去りにされたという
背景も、実際のルディの体験に基づいています。
一方脚色の部分は、ルディの話を聞いた脚本家ジョージ・アーサー・ブルームが1970年代後
半に執筆したものを監督のトラヴィス・ファインも加わってさらに映画用に練り直したものです。
パートナー ポールの存在
作品に登場するルディのパートナー法律家ポールは、実際はいないキャラクターです。
監督トラヴィス・ファインが当時の社会の抑圧を描くために「ルディのパートナー」として登場
させています。
ポールが登場することによってクローゼットの苦悩も描かれ物語に深みが増しています。
ちなみにクローゼットとは、ゲイをクローゼットにしまっている人のことです。
少年の障害の設定
映画のなかでマルコは「ダウン症」の少年として描かれていますが、モデルとなった少年は「自
閉症」だったと言われています。
実際の少年の後の動向はプライバシーの関係でオープンになっていないようです。
映画の結末|ちょっとネタバレと裁判の行方
映画では、非常にショッキングな結末ですが、これは映画として脚色が強いです。
実在のモデルとなった少年がどのような結末を迎えたかについては、公式な記録は見つかりません。
『チョコレートドーナツ』感想
チョコレートドーナツを観て、ストーリーの展開にのめり込んだのもありますが、
アメリカでも1970年代の社会の常識、価値観は、不自由だったんだと知りました。
具体的には、同性愛への強烈な不寛容、障害者、マイノリティへの無理解など。
同性愛に対しては、根底にキリスト教の価値観によって作られた国なので、そのルールに立ち向
かうのは並大抵なことではないです。
愛を説く宗教なのに皮肉ですよね、でもどうやったら上手くいくのか?
私は、この社会での数少ない経験で、直面していない問いを感じることから始めなければとこの映画を観て感じました。
多数派にいるときは何の問題もないですが、そうでない時闘うか諦めるか第三の道があるのか。
長く生きてきてまだまだ、映画などを通して考えていいきたい。
でも、この映画を観る前と後で少し世界を見る目が変わったかもしれない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
