映画『運び屋』は、家族を犠牲にして仕事一筋で生きてきた90歳近くの園芸家アール・ストーン
が、破産をきっかけに麻薬カルテルの運び屋となってしまいます。
しかし、彼の遠慮なしで身勝手なキャラクターから、捜査当局と犯罪組織の双方に追われる。
彼は生涯外で認められることが大事だと思っていたが、今までの長い間犠牲にしてきた家族との
関係を取り戻そうとする物語です。
この映画は、実際にあった事件から着想されています。
主人公のモデルが実在したのにはビックリですが、実話から脚色された本作品は犯罪映画という
より、家族をはじめ人との繋がりにスポット当てられています。
また、映像的にはロードムービーの面もあり、広大なアメリカの風景も見ごたえがあります。
私的には、気が短いのでこんな長距離運転したら、寝ちゃいそうなぐらい広いです。
楽しめるところ満載の映画『運び屋』は、犯罪映画でもあるのでキャストも多く主な俳優についてもまとめましたので、よろしくお願いいたします。
『運び屋』あらすじ
| 原題 | The Mule |
| 公開 | 2018年 アメリカ |
| 監督 | クリントイーストウッド |
| 主演 | クリントイーストウッド |
| 上映時間 | 116分 |
『運び屋』の主人公アール・ストーンはかつて優秀な園芸家として名を知られた人物です。
しかし、仕事優先で家族をないがしろにした結果、家族との関係は壊れ、仕事も時代の流れから
外れ、経済的に追い詰められます。
結果、家や土地を差し押さえられ孤独と困窮に陥っている彼に、車で荷物を運ぶ仕事の話が舞い
込みます。
彼に目を付けた麻薬カルテルは、無違反の高齢ドライバーなら警察にも怪しまれないだろうとい
う理想の運び屋だったのです。
最初主人公アールは、仕事内容の危険性を深く理解していないようですが、報酬の大きさに引か
れ深みにはまっていきます。
仕事内容がわからないとはいえ、ヤバそうなメンツを見ればわかりそうですが、どこか山っ気があるんですね。
アールは、麻薬カルテルの目論見通り次々と仕事を成功させていきます。
運び屋の仕事で彼の私生活は一変し、これまでできなかったことを周囲に施し、家や土地を取り
戻しますが、裏では取締局の捜査も進んでいて、さらに麻薬カルテルの内部抗争もあり、危険が
彼に迫ってきます。
ここからは、犯罪映画以外の人間ドラマが展開されます。
主人公アールは、外の評価を大事にして肝心の家族を壊したことを後悔して、最大の反面教師と
して描かれています。
結末は、皮肉な形のエンディングですがバランスが取れていると思います。
人の感情の機微なども細かく描かれいる中でも、犯罪映画の面もあるので、あっという間にエン
ディングです。
『運び屋』キャスト
| 俳優 | 役名 | 役柄 |
| クリントイーストウッド | アール・ストーン | 主人公 |
| ブラッドリークーパー | コリン・ベイツ | DEA捜査官 |
| アンディーガルシア | ラトン | 麻薬カルテルのボス |
| ローレンス・フィッシュバーン | 主任捜査官 | 主任捜査官 |
| ダイアンウィースト | メアリー | アールの元妻 |
| アリソンイーストウッド | アイリス | アールの娘 |
| タイッサファーミガ | ジニー | アールの孫娘 |
クリントイーストウッドが演じる主人公アール・ストーン
主人公アール・ストーンを演じているクリントイーストウッドは、90歳近いの老人です。
アールは、麻薬カルテルの仕事をしているにもかかわらず、善悪で単純に割り切れない人物で、
身勝手さもあれば愛嬌もあり後悔も抱えています。
そんな複雑な境遇を自然に表現しており、リアリティが半端ないので観る側に判断を委ねます。
ブラッドリークーパーやアンディガルシア他
ブラッドリークーパーが捜査官を演じるので、犯罪映画の緊迫感がより増します。
アール・ストーンを演じるクリントイーストウッドを追い詰めるに十分の役者です。
一方、アンディガルシアが、麻薬カルテルの幹部を演じ危険な世界の威圧感を出しています。
他、ローレンス・フィッシュバーン捜査側の上司として出演しており、作品全体に重厚感を加えています。
主人公がイーストウッドなので、周りに気が回らなかったですが、ポイントに大物俳優が出演しているのがビックリです。
家族側のキャスト
アールの元妻メアリーをダイアン・ウィースト、娘アイリスをアリソン・イーストウッド、孫娘
ジニーをタイッサ・ファーミガが演じています。
彼女たちは単なる脇役ではなく、アールが取りもどしたい対象の家族そのものです。
彼女たちの存在でアールの身勝手な人生を感じさせてくれますが、アールを心の底では大切に思
っている複雑な境遇を感じさせてくれます。
因みに娘のアイリスは、クリントイーストウッドの実の娘です。
そんなの知ってますよね。失礼
『運び屋』映画と実話の違い?
| 映画 | 実話モデル | |
| 主人公 | アール・ストーン | レオ・シャープ |
| 職業 | 園芸家 | 園芸家 |
| 物語の軸 | 家族との断絶と贖罪 | 麻薬運搬事件の実像 |
| ポイント | ヒューマンドラマ重視 | 現実の事件ベース |
『運び屋』で改めてビックリするのが、実話ベースということです。
主人公アール・ストーンは90歳近い年齢で長距離の運び屋なんて信じられませんよね。
でも、映画のプロデューサーや脚本家の想像力に火がついて、物語として膨らましてあります。
作品では、実話というより、実在のモデル「レオ・シャープ」を土台に老いと贖罪をテーマに描かれたフィクションです。
『運び屋』吹き替えか字幕か?
独断ですが、字幕がおすすめです。
理由は、クリントイーストウッドの映画は、テンポの速い会話劇ではないので、字幕を読んでい
ても置いてけぼりにならないからです。
逆に、イーストウッドのゆったりとしたしゃべり、間の取り方なども楽しめますよ。
イーストウッドの作品はセリフ以外のところに細かい表現があるので、字幕版の方が老いたアー
ルの息遣いと共に出るボソボソと話すのも伝わってきます。
『運び屋』感想
映画のジャンルからすれば犯罪映画ですが、この作品は、通常の犯人と取り締まり中心の物語で
はないです。
私がこの作品で印象に残ったことは2つあります。
ひとつ目は、一般の人がヤバい世界に引きずりこまれるハードルが低いこと。
ふたつ目は、人生何が幸せなのか?
ひとつめの犯罪とは、直接人をあやめたり、人のものを盗んだり、壊したりなど不当に他人を傷
つけることだと思ってました。
しかし、この作品で普通の人が普通にやっている行動でも、犯罪組織に引きずりこまれてしまう
怖さを知りました。それも自然に
そして、最初は違和感を持っていた事でもだんだん一般の感覚からずれて行ってしまう。
私は大丈夫と思っていても、悪事が入る隙間はよりによっての積み重ねからスタートします。
気がついたときは、なんでそんなことをしたのかと思えるのですが、その時はそれしかないと思
って自分を正当化している。
普通の気持ちの時は、未然に踏みとどまれそうですが、俗に言う魔が差した状態、そして悪事が
幸か不幸か上手くいってしまうと、深みにはまってしまう。
アールも一度目の多額の報酬を得て驚いていたが、最初、二度目は辞退するが大金が入って来る
行動には抗えなくなってしまう。
しかし、アールの大金の使い道は、切実でしかも大切なものや事に使い、他人が喜ばせるので映
画を観ていると妙な気分になってしまった。
でも、運ぶ回数が増えてくると、怪しげな連中ともそれなりに話すようになって確信犯になって
いく。
後半の場面でふてぶてしいアールでも、捜査官コリンと同じ店で一緒になり店を出たところで捜
査官と知らない時でも、呼び止められたときの動揺した表情が印象に残りました。
この時のアールの内心は犯罪者なのか、良心が少しは残った人なのか、ばれた、と単純に観念し
たのか?
私は、ドキッとした表情から彼の本当の気持ちに気づき始めたと思う。
よく逮捕された犯人の言葉に、「誰か止めてくれ」というのは本心なのかもしれないし、
犯罪の乗り物に乗ったら自分で止められない。
ふたつ目は、自分の幸せの優先順位を間違わないことだと思う。
自分のやりたいことができるのは幸せだけれど、それだけでは生きていけない。
それを身勝手に追い求めたアールの晩年に待っていたのは孤独だった。
現実にひとりになって初めて、彼が一番後悔したのは家族を大切にしなかったこと。
アールも最初は金があれば何とかなる、手段は悪いが贖罪のために運び屋を繰り返したと思う。
しかし、『運び屋』の仕事が単純にお金のためとなった頃から彼がやっと本心から家族が大切と
思うように変わった。
幸せは目に見えないけれど、それを実感させてくれるのは家族なんだ。
後半、麻薬組織のルールを破って、妻の元に行ったときにやっと目が覚めた。
自身、映画を観終わって、複雑な気持ちがあるが言語化できないので言葉になったらまた書きます。
まとめ
主人公アール・ストーンは、最初は経済的理由で『運び屋』を引き受けますが、報酬の大きさに
負けて、捕まるまで複数回、麻薬カルテルの仕事をします。
私の関心は、最初は一度だけの運び屋で終わらせようとするのに、結局は複数回続けてしまう動
機がよくわからなかった。
大金に魅力があるのは納得できるが、それ以上に大事なものが家族ということなのかな。
また、観返して考えてみます。
クリントイーストウッドの監督作品は、セリフになっていないところで、メッセージを伝えられ
ることが多いので何度観ても発見があります。
最後に彼の他の監督作品についても書いていますので、観てみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
