映画『ミスティックリバー』は、ある事件で娘を殺された父親が犯人への復讐の物語です。
しかし、映画は犯人捜しだけでなく過去に起きた事件関係者が交錯することで新たな悲劇を生み
出してしまいます。
過去の誘拐監禁事件の影。
映画『ミスティックリバー』は、テーマがいくつもあるので鑑賞後気になることがあったら
まとめてありますので、読んでみてください。
| 原題 | Mystic River |
| 公開 | 2003年 アメリカ |
| 監督 | クリントイーストウッド |
| 原作 | デニス・ルへイン『ミスティックリバー』 |
| 主な受賞 | 第76回アカデミー賞
主演男優賞 ショーン・ペン 助演男優賞 ティム・ロビンス |
映画『ミスティックリバー』あらすじ
物語の舞台は、ボストンの郊外。
幼なじみのジミー、ショーン、デイブは少年時代、路上で遊んでいた時に警官を語る変質者にデ
イブだけが連れ去られ、数日間監禁、虐待されるという事件に会います。
この事件が、3人の人生に深い傷を残します。
25年後、ジミーは元犯罪者ながら更生し家族と暮らしていました。
ショーンは州警察の刑事となり、デイブは家族を持ちながらも心の傷を抱えて生きています。
ある日、ジミーの最愛の長女ケイティが何者かに殺害されてしまいます。
この事件の担当は ジミーの幼なじみの州警察刑事のショーンです。
この殺害事件の夜に血まみれで深夜に帰宅し、妻のセレステ以外に知られていませんが、デイブ
が有力な容疑者として浮上します。
ショーンは、慎重に捜査を進める一方、被害者の父ジミーは、警察の捜査を待てず、地元の仲間
を使い犯人捜しを始めます。
ジミーは、ダークな仲間ともつながりがあるので、そのネットワークからの情報で犯人を捜します。
彼の原動力は復讐心ですから、荒っぽい思い込みや行動でトラブルを起こします。
ジミーは、冷静に真犯人に復讐することより、燃え上った怒りや憎しみの対象が必要だった。
デイブの妻セレステの疑念からの情報であとは自白させれば、十分な情況です。
さらにデイブの手の傷の説明がころころ変わる事でも疑念が深まります。
不幸にもジミーが無実のデイブに復讐した後は、彼は放心状態のように見えました。
そして、ショーンが真犯人を逮捕したと伝えた時、ジミーの表情が微かに後悔している様に見え
ましたが・・・・・
新たに悲しみの種が生まれた予感がします。
これ以上のネタバレは皆さんの楽しみを減らしてしまいそうなので。
遠慮します。
映画『ミスティックリバー』キャスト
| 役名 | 俳優 | 役柄 |
| ジミー・マーカム | ショーンペン | ケイティの父親で、元犯罪者 |
| デイブ・ボイル | ティム・ロビンス | 少年時代の誘拐被害を抱える幼なじみ |
| ショーン・ディバイン | ケヴィン・ベーコン | ケイティ事件を担当する刑事 |
| アナベス・マーカム | ローラ・リニー | ジミーの妻 |
| セレステ・ボイル | マーシャ・ゲイ・ハーデン | デイブの妻 |
| ケイティ・マーカム | エミー・ロッサム | 殺害されるジミーの長女 |
ジミー役ショーンペン|娘を失った父親の怒りと悲しみ
ジミーは若い頃犯罪に関わった過去を持っており、現在は食品雑貨店を営みながら、妻アナベスと娘たちを守る父親として暮らしています。
しかし、長女ケイティが殺されたことで、彼の心の底にある暴力性、地元の仲間内のつながりがより強くなってきました。
演じているショーンペンは、感情のマックスの絶叫から、生身に人間とは言えない凍り付く表情まで表現できる俳優です。
彼の表現力の豊富さで、ジミーの愛情深い父親から、復讐に燃える一人の人間の怖ろしさをリアルに感じさせてくれます。
デイブ役ティムロビンス|不条理に扱われる人物の繊細な演技
デイブは少年時代に誘拐監禁された被害者であり、大人になってからもその記憶を言葉にできず、妻セレステや息子マイケルとの距離を縮めることができない苦しみを抱えています。
この苦しみが最大に災いするのが、疑いを晴らすべきところで自分を説明できないことです。
一般的に考えれば答えられないのは疑われやすいと思いますが、デイブの場合少年時代の誘拐監禁事件の影が色濃くあり、整理して言葉にできないと思う。
不運にも、ケイティの事件当夜に起こったもう一つの事件。
少年を狙う男を止めようとして暴力を振るっており、その行動と曖昧な説明から妻やジミーの疑いを深めてしまった。
デイブの悲劇は、もう一つの事件のことを警察に説明していればと思いますが、それができない心情だった。
ロビンスは、デイブの恐怖、怒り、繊細な表現など豊富な演技力で映画に深みを増しています。
ショーン役ケヴィンベーコン
ショーン・ディバインはジミーとデイブの幼なじみでありながら、現在は州警察の刑事としてケイティの事件を捜査します。
感情の起伏の激しいジミーとは対照的に慎重に事実を追いますが、別居中の妻との問題で孤独を抱えています。
ショーンを演じているケヴィンベーコンもアクティブな役から繊細な役までこなせる俳優です。
彼の出世作は『フットルース』ですが、心理描写の繊細な『アポロ13』で好演しています。
映画『ミスティックリバー』原作と映画の違い
| 原作小説 | 映画版 | |
| 人物の内面 | 複数人物の心理ヤ過去を詳細に描写 | 表情、間、行動から観客に読み取らせる |
| 地域の描写 | ボストンの街と共同体の背景を丁寧に描く | 街の閉鎖性を映像の空気感で表現 |
| 結末の骨格 | デイブの無実と、ジミーの誤った私刑を描く | 原作の悲劇的な骨格を維持している |
| 読後、鑑賞後の印象 | 人物の理解深まる | 各観客に問いを残す |
映画『ミスティックリバー』後味悪いと言われる理由
ラストが「後味悪い」「納得いかない」印象は、私も持ちました。
ケイティ事件の真犯人が見つかっても、それ以前に無実のデイブはジミーに殺められてしまいます。
しかもデイブは、子どもの時から酷い目にあい、妻からも信じてもらえない。
妻のセレステもデイブを理解できなくて苦しんでいる。
一方ジミーは、罰を受けず、アナベスや地域の仲間に支えられながら日常に戻っていきます。
こんな不条理が住まいのそばのミスティックリバーの底にあるのは気味悪いです。
昔の映画『太陽がいっぱい』アランドロンが友達を殺して船から海へ沈めたと思ったら船に絡ま
ってずっと一緒に引きずってきたシーンを思い出しました。
ジミーも少なからず闇を抱えてしまったと思います。
本作は、逮捕のシーンがないので事件が解決していない隠喩と感じました。
当面の事件は解決したが、本当のことは何も片付けが終わらないと、描かれないことで強調しよ
うとしているのかも知れない。
デイブとジミーの最後のシーン怖さ|話がかみ合わないこと!
怖さと言っても猟奇的なものでなく、ジミーが頭の中で思い込んだことでデイブを追い詰めてい
くところです。
デイブは、ケイティを殺していないと訴えるものの、恐怖と混乱の中で、別件で、少年を守るた
に男を殺したことを口にします。
しかし、ジミーはその言葉を娘ケイティ殺しを認めたと思い込みデイブを撃ち、ミスティックリ
バーに沈めてしまう。
この場面の怖ろしさは、常軌を逸している時は自分の信じた筋書きしかなくなり、デイブの必死
の否定などどうでもいいのです。
人って、一旦思い込んだらなかなか修正はきかない。まして復讐心ならなおさら。
誤って殺されたデイブは二重の悲劇ですが、ジミーも娘の敵を取ってやったと思っていたのに、
無実の人を殺しただけ。
ジミーは新たな罪を抱えて生きていくのですから皮肉です。
ジミーと妻アナベスとの会話の意味
ケイティ殺害事件の解決をショーンから聞いたジミーは憔悴していましたが、アナベスは彼を慰
めていましたが、暴力を家族愛やコミュニティの考えで覆い隠します。
このコミュニティ独自のもっともらしい論理が罪悪感をなかったことにする危うさがとても気持
ち悪く、胸糞わるい。
デイブの家族はどうして悲劇を招いてしまうのか?
デイブの妻も夫の様子のおかしさから疑心暗鬼になって、疑ったことと、デイブを失うことが最
も可哀そうに思える。
デイブ発の悲劇の連鎖だとするとどうしたらいいんだろう?
幼なじみの中でラスト希望があったのはショーン
作中、ジミーとデイブの悲劇がクローズアップされますが、ショーンは別居中の妻との問題を抱
えています。
ショーンに何度も無言電話がかかってくるシーンは、はじめは何なのか分かりませんでしたが、
本作のテーマを表す言葉にできないことからくる、沈黙や誤解を表しているんではないのかと思.
いました。
メインの登場人物が、言葉にできない、しないことが悲劇の連鎖の根っこにある。
でも、何かのキッカケで川底から浮かび上がってくる。
ラストショーンの妻ローレンが言葉にすることで光明が見えるのは本作で唯一の救い。
まとめ感想
映画『ミスティックリバー』は、サスペンスですがショーンが犯人を捜査の中から登場人物や街
の背景、人々の価値観が浮かび上がってきて面白く、
さらに幼なじみの3人のキャストが、主役ができる俳優ばかりでより作品にはいりこめました。
本作監督のクリントイーストウッドは、セリフより表情や体の表現を多用するが、説明的でない
ので微妙な顔の表情などじっくり見入ってしまった。
最後に主役のショーンペンは、悪役から善人まで幅広くできる俳優です。
私的には、ジャックニコルソンと同系の男優と認識して贔屓にしてます。
贔屓の彼の善人の作品も紹介してますので、観ると別人かと思いますよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
