映画『マディソン郡の橋』は、原作小説がベストセラーで、ジャンルが大人のラブストーリーな
ので、映画を観るまでは誤解してました。
もちろんラブストーリーも素晴らしいのですが、このジャンルを生かしてもう一段深い所でのテ
ーマを感じる映画です。
大人のロマンスは、若い時の恋より複雑な人間関係の中での選択がテーマです。
複雑で観る側の冷静な選択を狂わせる、感情を揺さぶり、甘いささやき葛藤など、ラストまで続
きます。
本作の設定の4日間で、こんなになるかと最初は思っていましたが、引き込まれます。
よくも悪くも、人生を変える瞬間は、必ずしも長い時間を必要としないですね。
この物語のあらすじは、大きなエピソードがありません。
ないがゆえに実話ではと、噂になるほどの作品です。
物語が静かに流れていく中で違和感なく演ずるキャストについてもまとめてあります。
『マディソン郡の橋』あらすじ
公開 1995年 アメリカ
原題 The Bridges of Madison County
原作 ロバート・ジェームズ・ウォラーの同名小説
監督 クリントイーストウッド
主演 メリルストリープ、クリントイーストウッド
舞台 アメリカ・アイオワ州マディソン郡
上映時間 135分
物語は、家族が故人の遺品の中の手紙や記録をきっかけに、母フランチェスカがかつて経験した
忘れられない数日間が明かされていきます。
フランチェスカは、アイオワ州の農村地帯で夫と子どもたちと暮らす主婦です。
結婚生活は穏やかで安定していますが、どこか単調で、自分の人生が家庭の役割の中にだけにお
さまって、もやもや感を持っています。
ある日、夫と子どもたちが数日間家を空けることになり、彼女は久しぶりに自分ひとりの時間を
過ごします。
そこへ、マディソン郡にある屋根付き橋を撮影するためにやってきた、写真家ロバート・キンケ
イドが道を尋ねに現れます。
偶然の出会いから始まる会話は、自然で控えめなものですが、彼女のふるさとイタリア・バリの
話から徐々に盛り上がります。
ロバートが滞在する数日間、フランチェスカは会話や食事を共にし、二人の距離感が縮まってい
く過程はとても静かです。
静かな中にも彼女の心の動揺、恋の行方だけでなく、人生の責任や現実と切り離せない選択が描かれています。
『マディソン郡の橋』原作や映画は実話なの?
同名ベストセラー小説を含め実話なのではないかと噂されてきました。
その理由は、原作小説がまるで実際に残された記録をもとにしているかのような雰囲気を持って
いるところです。
また、映画版でも派手なドラマ性より日常の細部が重視されているので、現実にありそうな出来
事として受け止めやすくなっています。
原作小説と映画の共通点として、大きなエピソードもなく感情を大げさに表現していなく、登場
人物の内面を日常の何気ない短い会話や行動の積み重ねで描かれています。
そのため、観る側も違和感なく自分の経験や価値観を重ねやすく、自分のことのように感じられ
ます。
さらに映画では、メリルストリープの表情やイーストウッドの静かな立ち居振る舞いの演技が自
然に感じられるので、フィクションでありながら実話なのではと噂がされるのです。
映画『マディソン郡の橋』キャスト
フランチェスカ・ジョンソン メリルストリープ 農村で暮らす主婦
ロバート・キンケイド クリントイーストウッド 橋を撮影に来た写真家
リチャード・ジョンソン ジムヘイニー フランチェスカの夫
キャロル アニーコーリー フランチェスカの娘
マイケル ヴィクタースレザック フランチェスカの息子
フランチェスカ役メリルストリープの演技力
フランチェスカは、南イタリア出身の設定で表面上は穏やかですが、内面に熱さを持った女性です。
この彼女をメリルストリープが、抑制のきいた心の奥底の気持ちやためらいを表現しています。
家庭を守る妻としての落ち着きと、一人の女性として再び心が動きだす瞬間の繊細さを、同時に
成立させているところが凄いです。
ロバート役クリントイーストウッドの静かな演技
ロバート・キンケイドは、旅を続ける写真家としての自由さと、どこか孤独を抱えた成熟した男
性です。
ロバートを演じるイーストウッドは、他の作品の野性味あふれる男性像と異なります。
たとえば、今までも黙っているシーンは数多くありますが、そこで受ける印象は緊張感です。
しかし、本作品での語らないシーンは、押しつけがましさもなく、相手の気持ちを尊重するよう
な優しさがあります。
同じ黙っているだけなのに真逆のイメージを感じさせるのは流石です。
このような彼の演技が、甘すぎないラブストーリーになり、現実味を増します。
フランチェスカを引き立てる家族のキャストまとめ
フランチェスカのリアルを表す、家族の存在は欠かせません。
夫のリチャードは、彼女の言葉を借りれば一言「まっとう」誠実で家庭を支える人物ゆえに葛藤
が深くなります。
細かい所はもんくはありますが、生きていくにはもんくはない。
もし、リチャードがダメ亭主なら物語は単純になってしまいますが、そうではないからこそ彼女
の選択から目が離せません。
また、子どもたちの存在は、フランチェスカの母としての責任や家族の歴史を担ってきた証になっています。
『マディソン郡の橋』感想
ラブストーリーやラブコメディーは、会話劇のイメージを持っていますが、本作品はフランチェ
スカの内省的な面がメインに描かれている印象を受けました。
しかし、彼女の感情が主に言葉で表現されていないので、説明的な感じ、押しつけがましい所がない。
だから、目に飛び込んでくる映像から、彼女の感情を感じ取り解釈できる。
説明されるのでなく自分が感じ取ったので、より深く作品に入り込めた感じがします。
説明的でないフランチェスカ役のメリルストリープの演技で、ともに感情を共有できてしまう。
画面中で安心して役に没入して、別人の体験を味あわせてくれる。
想像力を刺激してくる作品です。
文章を味わう時の表現に「行間を読む」という言葉がありますが、何も書いてない余白に自分だけの言葉を想像する、そんなこと連想をしました。
いくつも映画を観てきて、こんなに違和感がないのは久しぶりです。
女優メリルストリープの他の作品での名演技についてもまとめてありますので、見てみてください。


最後まで読んでくださりありがとうございます。
