あらためて観なおしても、年齢や立場が変わるとそれぞれの気持ちがわかり、おなかのあたりがどよーんとしてしまいます。
それぐらい、みんなの気持ちを刺激する映画です。
『今を生きる』は、1959年のアメリカにある名門全寮制男子校が舞台です。
アメリカのベトナム戦争前までの、厳格で伝統を尊重する精神がありありとしています。
そんな校風の学校で、OBでもある型破りな英語教師ジョン・キーティングと生徒たちの交流を描いた青春ドラマです。
が、生徒の方も本音と建て前を使い分けて生きていく姿は、どの国も変わらないと思います。
原題は『Dead Poets Society』で、日本では“今を生きる”という強いメッセージ性を持つタイトルでも広く知られています。
厳格な規律に支配された学校の中で、生徒たちが詩や言葉を通して自分の人生を考え、より悩み始める姿に引き込まれます。
映画『今を生きる』は、感動作として語られることが多いですが、自由と責任、教育と抑圧、親子関係の重さまで描く奥深い作品でもあります。
あらすじをネタバレありで紹介して、最後に感想をお伝えします。
映画『今を生きる』あらすじネタバレあり
舞台は厳格な校風で知られる名門校ウェルトン・アカデミーです。
学校のある場所は、自然豊かでとても恵まれたところ。
悪く言えば街から隔離された若者にとっては、刺激がなく退屈なところです。
そこへOBでもある新任教師ジョン・キーティングが赴任し、伝統的な規律を重んじる価値観とは異なる授業を行うことで、生徒たちの心に少しずつ変化が生まれていきます。
詩を読み、言葉の力に触れ、自分の人生を自分で選ぶとはどういうことかを考え始める少年たちの姿が描かれています。
さらに、時代が変わっても、青春時代特有の関心や心情にも寄り添っているので共感できます。
生徒たちは将来を約束された優秀な若者たちですが、その一方で学校や親の期待に抵抗できず、自分の本音を表に出しにくい環境です。
そんな中、新学期に赴任してきたのが英語教師ジョン・キーティングです。
生徒たちは、外部から見ればとても恵まれた境遇ですが、鬱屈し、退屈な学校生活を送っています。
私も、まったく環境は違いますが、 中学・高校の頃は、なんかむしゃくしゃしていたのを思い出してしまいました。
教師キーティングは教科書を絶対視せず、詩を“理解するのではなく、自分がどう感じたかを大切にし生徒たちにこれまでとは違う視点を与えていきます。特に教室を出て、アタマだけでなくカラダを使って、感じ、気づく授業。
この年頃の男子生徒はエネルギーが余っているので、経験的に納得できます。
学校の常識からは外れたものばかりで、最初は戸惑っていた生徒たちも、彼の言に触れるうちに、自分の人生を誰かに決められるだけでいいのかと気づき始めます。
特に“Carpe Diem(今を生きろ)”という言葉は、合言葉の様に強い影響を与えます。
限りある人生の中で自分の意思を持って生きることの大切さを示す言葉です。
彼らはキーティングの影響を受けながら、自分の気持ちに正直に生きようとし始めます。
その結果、友情は深まり、行動力も増していきますが、同時に学校の規律や親の期待との衝突も避けられなくなるのは胸が痛いです。
長い間おさえてきた気持ちが圧搾空気が暴発するように。
糸の切れた凧のように、コントロールが効かない状態には、教師のキーティングも困惑してしまいます。
青春の高揚感と危うさが同時に進んでいく構成が、この映画の魅力です。
最終章に向かっていくシーンは、どの世代の方が観ても胸が痛み重くなるような展開です。
この後は、感想のところでお話しします。
映画『今を生きる』主なキャスト・監督
ロビン・ウィリアムズ演じるキーティングは、優しさ、ユーモア、知性、そしてどこか影のある雰囲気を出しています。
普段は穏やかに接していますが、ここぞとばかりに生徒の心に火をつけるように言葉を届ける演技が非常に印象的です。
彼自身、コメディアン出身でもあり、細かいところで、名優のモノマネなども織り交ぜて生徒とともに観客も引き付けられてしまいます。
彼の授業シーンには軽やかさがありますが、その奥には人生の有限性を知る大人の切実さもにじんでいます。
そんなキーティングを、一面的な“熱血教師”ではなく、厚みのある人格者に感じさせてくれるので、ロビン・ウィリアムズの代表作のひとつとして語られるのも納得です。
トッド役のイーサン・ホークは、内向的で不安を抱えた少年の繊細な揺れを見事に表現しています。
特に自分の声を見つけていく過程は、この映画の感情的な柱のひとつです。
一方、ニール役のロバート・ショーン・レナードは、明るさと聡明さの裏にある切実さを自然ににじませ、観客に強い印象を残します。
彼の笑顔が魅力的であるほど、後半の悲劇がより痛切に感じられます。
この二人の対比が、作品全体の感情の振れ幅を大きくしています。
監督はピーター・ウィアーで、人間の内面や社会との摩擦を繊細に描く演出に定評があります。
ピーター・ウィアーは、他の作品『ジョンブック目撃者』や『トゥルーマンショー』などでも、感情表現で効果的に音楽を使うのが上手いです。
話の場面が展開する時に美しい風景を使うのも魅せられます。
また、この作品の評価されて証は、アカデミー賞脚本賞を受賞していることからもあきらかです。
映画『今を生きる』感想
映画『今を生きる』の感想は、作品の伝えたいこととはずれていると思いますが、教師キーティングのセリフに従いたいと思います。
いくつも刺さるシーンがありましたが、私が共感したのはやはり教師キーティングや生徒のスタンスです。
実際は真逆な毎日なのですが、長い間をあけて観ても、心情的に辛いです。
私と親の関係、社会の関係、夫婦の関係、自分が親になって子どもとの関係、いろいろな立場に立ってきましたが、立ち位置によって見える風景は同じではないなと感じました。
それでも、いちばん多感な時期に感じたことは、自分の深い所にずっと記憶して残っているものなんですね。
終わりに
若い時に観た時は、まだこれからのいろいろな立場を経験してない。
それ故に、暴走してしまいがちですが、情熱・パッションは生きていく糧です。
いろいろな経験をして、得てきたものの板挟みの感覚、これはやたらに解消できないで生きていることに気付かされた映画です。
ピーター・ウィアー監督は、『トゥルーマンショー』などでも考えさせてくれる作品が多いです。
一度観て終了、はい次、と解放してくれない、そんな映画です。
『今を生きる』は人生のターニングポイントで観るとそれぞれ実感を伴なって、より深く考えさせてくれる映画です。
