映画『フォレストガンプ』は、彼個人の歴史ですが同時期のアメリカの歴史そのものです。
主人公と同じ時代を生きた人々には刺さった映画です。
その証拠に、賛否は分かれますがアメリカの人気コミックシンプソンズでもいじられています。
フォレストの母の有名な言葉「人生はチョコレートの箱、開けてみるまでわからない」は劇中使われるほどポピュラーです。
作品のスケールは大きいですが、登場人物フォレスト(トムハンクス)、ジェニー(ロビンライト)、ババ(マイケルティウィイリアムソン)、ダン中尉(ゲイリーシニーズ)を中心に展開していきます。
個人の歴史を通じて同時代のアメリカの一面を感じられます。
あらすじや主な登場人物を通じた感想もまとめましたのでよろしくお願いします。
映画『フォレストガンプ』あらすじ
公開 1994年 アメリカ
監督 ロバートゼメキス
主演 トムハンクス
他登場人物 ジェニー ロビンライト
ダン中尉 ゲイリーシニーズ
ババ マイケルティウィイリアムソン
映画『フォレストガンプ』は、主人公フォレスト(トムハンクス)がバス停のベンチでとなりに座った見知らぬ人々に、自分の半生を語るところから始まります。
フォレストは、幼少期病気のためIQと足にハンデを負ってのスタートでした。
足に装具をつけていたことから、いじめの対象になっていましたが、母の言葉を信じ学校に通っていました。
いじめられ追い回されているうちに、ある時装具なしに走れるようになり、しかも走る才能に気づき物語が展開していきます。
この展開はとても寓話的ですが、彼が純真に生きていることを大切にしているエピソードとしてユーモラスに描かれています。
フォレスト自身、経験により成長していきますが、彼の変わらぬ信念や愛情が関わった人々を変えていく物語です。
映画は、時代のトピックスや流行の音楽など盛りだくさんなので、フォレストと関わった主な人物を中心に感想をまとめました。
フォレストとジェニーのかかわり
フォレストとジェニーの出会いはスクールバスのシートです。
フォレストは、スクールバスに乗ったのですが、足に装具をつけた彼に、誰も席を譲らないなかで、隣の席を進めたのがジェニーでした。
話がそれますが、当時バスで席を譲らないことで社会運動にまで発展したのは、アラバマ州バスボイコット運動でした。
ちなみに、物語でフォレストが活躍するアメリカンフットボールチームがアラバマ大学なのはバスボイコットの地域の匂わせなのかもしれません。
話を戻して、このきっかけからジェニーと仲良くなり、さらにフォレストの人生を好転させる言葉「走って」は彼女からかけられました。
ジェニーとの恋愛関係は、フォレストの一途な思いがありましたが、彼女の家庭環境の傷や自己否定感から、安定した関係にはなりません。
何度か再会はしますが、二人は近づいては離れることの繰り返しで、ラストまで気をもまされます。
一般的物語では、主人公が他者との関わりで、成長や堕落など変化していくのが多いです。
劇中、何度も話題の人になりますが、フォレストはバカにされようとも空気を読めないキャラとして、愚直に変わらぬ信念や愛情を持ち続けるユニークな存在として描かれています。
一方ジェニーの存在はフォレスト明とすると対照的に闇で波乱万丈です。
まるで当時のアメリカを表裏のように感じます。
ベトナム戦争中のアメリカの反戦運動の一面も彼女のかかわりで空気感を伝えています。
彼女はアメリカ国内の動乱期のシンボルのようです。
ジェニーの関係は、理想的な恋愛関係ではありませんが、鳥のように羽ばたきたい彼女をつなぎ留めるものではなく、一途な片思いに見えます。
彼にとって、思いを抱き続けられる対象として生きていて欲しかったんだ。
そんな愛を真っすぐに表現できたのがフォレスト、そして最後巣に戻ったジェニー
ジュニアとの物語へのバトンを渡したようですね。
しかし、フォレストはどれだけジェニーを愛していたのか聞いてみたいです。
薄情者の私としては(失礼)
フォレストと戦友ババとの関係
フォレストと親友ババの出会いもバスのシートを譲ってくれたことからスタートです。
ババは除隊後、エビ漁の夢を熱心に語る青年で、フォレストにも一緒にビジネスをはじめようと勧めていました。
彼もベトナムに派遣されたときは生きて帰れるとシンプルに思っていたようですが、実態は酷く彼も命を落としてしまいます。
フォレストは、除隊後彼が果たせなかったエビ漁に挑戦し、後に、ベトナムでの上官ダン中尉と共に奮闘していきます。
フォレストは、ババとの関係で、自分がやりたいことではなく関わった人たちの思いを純粋に果たすことがミッションと思ったのかと思います。
フォレストとダン中尉との関係
今回、『フォレストガンプ』を10数年ぶりに観なおして、ダン中尉との関わりがとても深いテーマだったように感じました。
フォレストとの裏表、でダン中尉が必要だと思いましたが、裏の方が大きく重かったからです。
裏の面を表すのに長い時間をかけて丁寧にする必要があった。
ダン中尉は、軍人の家系に生まれ、自分も戦場で名誉の死を遂げることを運命として受け入れていました。
ところが、フォレストの必死の救出で生き永らえましたが、両足を失ってしまいました。
このことは、ダン中尉にとっては救いではなく、誇りと人生設計を奪われフォレストを恨んでいて彼に激しく反発し、酒浸りになり荒れた生活に沈んでいきます。
ダン中尉もジェニー同様、フォレストと対照的に闇の部分おして描かれています。
彼の苦しみは、両足切断だけでなく、アイデンティティまでもずたずただと、示しています。
ダン中尉もジェニー同様 何度もフォレストの前に現れ彼に怒りをぶつけますが、それでもフォレストは、ダン中尉を受け入れる。
常人には信じられない行動です。
キリストの無償の愛の体現なのか、アメリカ人の憧れなのか、私にはよくわからないですが、
しかし、ダン中尉が、エビ漁に参加するために桟橋で待っているシーンで、フォレストが最上のウェルカムの表し方がぶっ飛んでる。
海に飛び込んで会いに来る、これは愛情を超えた奇行だと思います。(笑)
エビ漁に関わっている中の嵐のシーンで、ダン中尉はマストに登り暴風雨に向かって命を試す、それぐらい彼の誇りはズタズタで、あそこで絶命してもよかったそんなシーンでした。
それで、命をつないでやっと前向きに生きられるようになった。
ダン中尉をはじめ、アメリカのプライドはそれほど大きかったんだ。
静かにフォレストに感謝を伝えるシーンは、感動的だが、今までの流れからすると複雑だと思う。
戦地からの帰還メンバーに対する感情は、平時の人間には軽々には分からないです。
でも、面倒くさい人たちだと思う。
アメリカの誇りを取り戻し、フォレストの婚礼に出席した彼は、杖を突きながらではあったが、車いすではなく自身で歩いて登場する。
義足の素材もアメリカ復活の宇宙産業スペースシャトルの素材を示すなど自信を取り戻している。
そして、象徴的なのはフィアンセがベトナム出身の女性と紹介され、戦争相手との和解も示唆しているようだ。
うまく行き過ぎて、寓話的とうつりますが、すばらしいのは、彼が昔の自分に戻ったのではなく、傷を抱えながらも新しいステージに自ら進んでいるところです。
フォレストにとって、ダン中尉からは除隊後は長い間ひどい扱いを受けてきましたが、長い時間をかけて関係が変わったことを感じさせます。
映画『フォレストガンプ』感想
映画では、もう一つ大きなエピソードがありますが、私にはよくわからないので触れないでおきます。
『フォレストガンプ』の劇中でもアメリカがベトナム戦争で躓いたことは描かれていますが、偉大なアメリカにとって相当の喪失感だったんだと感じました。
ダン中尉の、名誉のために国に殉じるなんて考えを、アメリカ映画で聞いて少し驚いてます。
フォレストと共にダン中尉の存在が大きかった。
新たなジュニア・フォレストの物語が楽しみです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
トムハンクスが監督を務めた『幸せの教室』についても書いているので読んで下さいね。

