映画『恋愛小説家』は第70回アカデミー賞 主演男優賞と主演女優賞を獲得した話題の映画です。
1998年の話題の映画と言えば、「タイタニック」一色でした。
その年に主演の男女賞を獲得したと聞けば、推して知るべしです。
でも、タイトルに恋愛と入っているので、甘いロマンスと思うとちょっと違います。
笑いのない喜劇、恋のない恋愛劇なんて映画になるのかと思いますが、ラストはしっかりラブロマンスになってます。
大人の恋愛は、面倒くさくて傍から見てると何してんだあの二人、けれど覗いて見たい人にぴったりの映画です。
あらすじ、感想、名優ジャックニコルソンについてまとめてありますので、よろしくお願いします。
映画『恋愛小説家』あらすじ
公開 1997年 アメリカ
原題 「As Good as It Gets」
監督 ジェームズ・L・ブルックス
主なキャスト ジャックニコルソン、ヘレンハント
メルヴィン ジャックニコルソン 人気恋愛小説家
キャロル ヘレンハント メルヴィン行きつけのレストランの
ウェイトレス
サイモン グレッグキニア ゲイの画家
バーデル ブリュッセル・グリフォン サイモンの愛犬
物語は、ニューヨークを舞台に人気恋愛作家メルヴィンを中心に進みます、
彼は、仕事では成功していますが、私生活で潔癖症と毒舌で周囲から変人扱いされ、まともな人間関係を築けない人物です。
同じ階の隣人サイモンの愛犬を預かるところから、小さな変化が起きていきます。
ラブロマンスは、ストーリーも大事ですが登場人物のキャラが重要です。
それを知ってからエピソードの展開を追っていくとより楽しめますよ。
恋愛小説家の主演メルヴィンを演じたジャックニコルソンの凄さ
メルヴィンは、偉そうにしているジジイを絵にかいたような人物です。
しかも、人気の恋愛小説家というからさらにたちが悪い。
ジャックニコルソンは、嫌な奴をやらせたら、これでもかというくらい人の嫌がること知っているのかと思うほどです。
その彼が演ずるメルヴィンにも、こころの悩みはあるようで心理カウンセラーにかかっています。
悩みのもとは、彼の信条です。
大切にしているのは知的で秩序がある世界ですから、恋愛のように気持ちが混乱してコントロールできないのが許せない、そんな感じです。
彼自身、モヤモヤした気持ちはキャロルへの恋愛感情だと認めるのは、嫉妬してやっとわかるという筋金入りの頭でっかち。
こんなキャラの人をほっとけないと思うのも物好きです。(病気)
演じているジャックニコルソンは、私にとっては名優というより怪優という印象です。
主人公の嫌味さや攻撃性をしっかり見せながら、その奥にある脆さや孤独も同時に表現出来る数少ない俳優です。
たとえば、相手の言葉や行動でうろたえたときに、口では平静を保っているつもりでも、目が泳いだり、おちつきのないしぐさなどの演技は絶妙で、笑わせてくれます。
しかし、彼の演技のすごさはやはり狂気でしょう、リミッターが外れたら人間どうなるのかを感じさせる不気味さを持っています。
外見からは予想できない親切さから、狂気の人まで感情表現の振れ幅の大きい俳優が、抑制された演技を見せてくれる作品です。
キャロル役ヘレンハントが見せるリアルな感情表現
キャロル役のヘレンハントも、ジャックニコルソンの演技を受け止められる名優です。
ヒロインに求められる優しいだけのキャラでなく、生活や家族の苦労を抱えながらも流されない芯の強い女性です。
メルヴィンの失礼な言動に対して、すべてに反論するわけでなく、自分の信念や価値観を侮辱する言動には強く反論してきます。
この反論の明確さにメルヴィンもたじろいでしまいますが、少しずつ惹かれていったのかも。
これらの会話を聞いていると、どこがロマンスなのか分からないですが、現実には摩擦で分かり合っていくというのもあるんだと感じさせてくれます。
キャロルも表面的には自然体ですが、メルヴィンに負けずなかなか強気です。
サイモン役グレッグ・キニアの繊細表現
サイモンは、メルヴィンと対照的なキャラクターとして登場し、彼と関わる場面は、数少ない繊細な面を引き出しています。
たとえば、サイモンがピンチの時にはさりげなく手を差し伸べて見たりと、二人の関係も、素直に進むものでなくぶつかり合いながら、少しずつ変化を描いています。
そして、サイモンの愛犬バーデルが最大の功労犬です。
メルヴィンが、変化するきっかけはバーデルと関わってからです。
彼は、人間相手では、皮肉や攻撃的な言葉を使って自分のプライドを守っていますが、バーデルにたいしてはその必要はない。
バーデルと気持ちの通じ合いで幸せを感じた。セラピーかも
皮肉にも、小説家として、言葉以外のコミュニケーションによって他者と理解を深められ変わっていく。
こころに刺さった名場面|セリフ
ネタバレにならない程度に紹介します。
終盤の場面で、サイモンがメルヴィンにかけた言葉が印象に残っています。
キャロルからの電話の後、メルヴィンが混乱し、彼女をを愛していると認めないメルヴィンに、気持ちに素直になるように促し、今すぐ彼女に会いに行くように背中を押したシーンです。
このシーンはメルヴィンだけでなく、傷ついていたサイモン自身も自信と希望を取り戻し、行動を促す二重の意味でスタートの言葉だ。
この言葉を素直に受け入れたメルヴィンも変わりたい気持ちに従って行動する。
そして、ラストに向かってもまだ摩擦があるところは、現実味があります。
ラスト、メルヴィンは、深夜の散歩に誘うがキャロルは、まともならこんな時間に散歩はしない。
まだ、まともじゃないと言わんばかりだが、彼の秀逸な誘いのセリフに彼女はオッケーする。
何ともお洒落な、それも浮世離れしていない。街角の焼き立てパンの店が朝4時に開店する.パンを買いに行こうという口実がいい。
彼女を誘うためにやさしい言葉を使う、今までは自分を守るためだったが変わった。
劇的に変化するわけではないが、少しずつ少しずつです。
静かだけど大事なシーンを忘れていました。
夜中に家に押しかけられたキャロルが、メルヴィンに冷たい言葉をかけている後ろで、キャロルの母親が 理想の恋人なんていないの と静かに声をかけるシーンも刺さりました。
メルヴィンとキャロルの会話以外はとても静かなラブロマンスです。
まとめ感想
主役の二人がアカデミー賞の主演男優女優賞を取るだけの演技だと納得しました。
原題「As Good as It Gets」は、直訳すると「これ以上は望めない」「今ある中では最高」といった意味です。
この映画はラブロマンスでもありますが、完璧ではない人生や不器用な人間関係の中でも、それでも前に進もうというテーマを感じます。
最後にお伝えしたいのは、映画は作品のジャンルや映像表現が興味の対象になりますが、どの作品にももう一段深いレイヤーにもう一つテーマがあることが感じられるとより楽しいですよ。
それは監督が何を伝えようとしているのか、もしかしたら邪なことかも、それをかぎ分けるのも映画を観る楽しみですね。
ジャックニコルソンの他の作品についても書いているので読んでみてください。



最後まで読んでいただきありがとうございました。
